簿記3級勉強

八日目
【決算整理と棚卸表】
決算における簿記の目的
・一年間の儲け(経営成績)を正しく計算すること
・期末の財産(財政状態)を明らかにすること
そのために必要な修正手続を決算整理という。
決算整理事項
?現金過不足の決算整理
?商品の決算整理
?貸倒引当金の設定
?有価証券の評価
?減価償却費の計上
?費用・収益の見越しと繰延べ
?消耗品の決算整理
?引出金の決算整理
【現金過不足の決算整理】
?現金過不足勘定に残高があるときは、「雑損」・「雑損失」もしくは「雑益」・「雑収入」に振り替える。
借方残高(不足額)
 (借)雑    損 ××× (貸)現金過不足 ×××
貸方残高(超過額)
 (借)現金過不足 ××× (貸)雑    益 ×××
?期末に帳簿残高と実際有高の不一致が判明したときは直接「雑損」・「雑損失」もしくは「雑益」・「雑収入」で仕訳する。
【商品の決算整理】
売上総利益→商品販売による損益
 売上総利益=売上高−売上原価
売上原価→売り上げた商品の原価
 売上原価→期首商品棚卸高+当期商品仕入高−期末商品棚卸高
仕入勘定で売上原価を計算する方法をおさえておく。
 (借)仕   入 ××× (貸)繰越商品 ×××
           (期首商品)
 (借)繰越商品 ××× (貸)仕   入 ×××
【貸倒れと貸倒引当金の設定】
(貸倒れとは)
 得意先の倒産などにより、「売掛金」「受取手形」(資産)が回収不能になること。発生した場合には、「売掛金」や「受取手形」等の債権(資産)を減額し、その分は回収をあきらめ、「貸倒損失」(費用)勘定で処理する。
(貸倒引当金とは)
 翌期以降に貸倒れの発生が予想される場合、将来の貸倒れに備えて、決算時に貸倒れの見積額を早めに費用として見越し計上する。これにより、一年間の経営成績をより明らかにすることができる。
 ただ、この見積額はあくまでも予測値であり、まだ実際に貸倒れが発生したわけではないので、「売掛金」「受取手形」(資産)から直接減額することはできない。そこで相手勘定として「貸倒引当金」(資産のマイナス)を設定する。これを「貸倒引当金の設定」という。
(差額補充法)
 「貸倒引当金」(資産のマイナス)勘定に残高がある場合がある。
 期末の決算整理仕訳では、必要な見積額と残高との差額を不足分として繰入れる(ただし、多すぎる場合は超過額を戻し入れて必要な見積額とする)。
(1)不足する場合
 「貸倒引当金」(資産のマイナス)期末残高<見積額の場合には、見積額になるように不足額を「貸倒引当金繰入」(費用)とするとともに「貸倒引当金」(資産のマイナス)に加算する。
 (借)貸倒引当金繰入 ××× (貸)貸倒引当金 ×××
(2)超過する場合
 「貸倒引当金」(資産のマイナス)期末残高>見積額の場合には、見積額になるように超過額を「貸倒引当金戻入」(収益)とするとともに「貸倒引当金」(資産のマイナス)より減産する。
 (借)貸倒引当金 ××× (貸)貸倒引当金戻入 ×××
(貸倒れが実際に発生したとき−期中)
 得意先の倒産などにより、貸倒れが実際に発生すると売上債権(「売掛金」「受取手形」)が回収不能となるので、貸方に仕訳して減額する。借方は「貸倒引当金」(資産のマイナス)勘定残高があるかどうかで違ってくる。
(1)貸倒引当金勘定残高がある場合
?「貸倒引当金」(資産のマイナス)勘定残高>貸倒発生額
  全額「貸倒引当金」(資産のマイナス)勘定で処理。
 (借)貸倒引当金 ××× (貸)(売掛金等) ×××
?「貸倒引当金」(資産のマイナス)勘定残高<貸倒発生額
  まず「貸倒引当金」(資産のマイナス)を全額使い、足りない部分は「貸倒損失」(費用)勘定で処理。
 (借)貸倒引当金 ××× (貸)(売掛金等) ×××
    貸倒損失  ×××
(2)貸倒引当金勘定残高がない場合
  全額「貸倒損失」(費用)勘定で処理。
  (借)貸倒損失 ××× (貸)(売掛金等) ×××
※ただし、当期に発生した売掛金受取手形が当期に回収不能(貸倒れ)となった場合は貸倒引当金は使えない。貸倒損失とする。
 なぜなら、貸倒引当金は前期末の売掛金受取手形の期末残高に対して見積計上したものであり、元々当期分に対しては見積計上していないため。
【有価証券の評価】
 取得原価と期末における時価が一致しないことが多くある。
そこで、決算において「売買目的有価証券」(資産)の時価が取得原価よりも上昇・下降しているときは、取得原価を時価まで増額・減額しなければならない。これを「売買目的有価証券の評価替え」といい、このように時価で評価する方法のことを「時価法」という。
値下がりの場合→「有価証券評価損」(費用)勘定の借方に記入
 (借)有価証券評価損  ××× (貸)売買目的有価証券 ×××
値上がりの場合→「有価証券評価益」(収益)勘定の貸方に記入
 (借)売買目的有価証券 ××× (貸)有価証券評価益  ×××