簿記3級勉強

九日目(前半)
【固定資産の減価償却と売却】
減価償却とは)
 「建物」「備品」「車両運搬具」等、「土地」を除くほとんどの有形固定資産は、使用もしくは時の経過によりその価値が下がってくる。この価値の減少を減価といい、決算において減価を帳簿上反映させていく手続を減価償却という。減価償却によって計上される費用は、「減価償却費」という。
減価償却費の計算)
「定額法」 
 有形固定資産の耐用年数と残存価額を定め、耐用年数を通じた各期の「減価償却費」(費用)が一定になるように計上する方法。
一年間の減価償却費=(所得減価−残存価額)÷耐用年数
減価償却の記帳方法)
(1)直接法
 有形固定資産の勘定を、直接減らす記帳方法。常に帳簿価額(実質価値)を表す。
 (借)減価償却費 ××× (貸)(有形固定資産) ×××
(2)間接法
 「減価償却累計額」という資産のマイナスの勘定を設けて、有形固定資産の勘定から間接的に控除する記帳方法。
 (借)減価償却費 ××× (貸)減価償却累計額 ×××
※実質価値は有形固定資産の取得原価から「減価償却累計額」(資産のマイナス)を差し引いて求めることになる。
【期中取得の場合の減価償却費の計算】
 使用した期間分の「減価償却費」(費用)を月割計算により計上する。
【固定資産の売却】
 必ず帳簿価額(実質価値)と売価を比較し、儲かったときは「固定資産売却益」(収益)勘定で、損したときは「固定資産売却損」(費用)勘定で仕訳する。
(1)直接法の場合(売価>帳簿価額−儲かったとき)
 (借)(現 金 等) ××× (貸)(有形固定資産) ×××
                   (貸)固定資産売却益 ×××
(2)直接法の場合(売価<帳簿価額−損したとき)
 (借)(現   金   等 ) ××× (貸)(有形固定資産) ×××
    (貸)固定資産売却損 ×××
(3)間接法の場合(売価>帳簿価額−儲かったとき)
 (借)減価償却累計額 ××× (貸)(有形固定資産) ×××
    (現  金  等) ××× (貸)固定資産売却益 ×××
※有形固定資産の取得原価から「減価償却累計額」(資産のマイナス)を差し引いて帳簿価額(実質価値)をまず先に求めてから、帳簿価額と売価を比較して儲かっているか損しているか考える。
(4)間接法の場合(売価<帳簿価額−損したとき)
 (借)減価償却累計額    ××× (貸)(有形固定資産) ×××
     (現  金  等)    ××× 
    (貸)固定資産売却損 ×××
【固定資産の期中売却】
 当期首から売却時まで使用した期間分の「減価償却費」(費用)を月割計算により計上する。

九日目(後半)
【費用・収益の見越しと繰延べ】
「繰延べとは」
 翌期の分まで費用を払っていたときや、翌期の分まで収益をもらっていたときに問題となる。
(1)費用の繰延べ(費用の前払)
 当期中に翌期分の費用まで先払いしたとき
翌期の分は、当期の費用から減らして、翌期に繰延べる。
 (借)前払費用 ××× (貸)(費  用) ×××
※翌期の分は、すでに支払ったものなので「前払費用」(資産)勘定で記帳する。翌期以降にサービスを受ける権利を表す。
 費用を繰延べた場合、翌期首に「前払費用」(資産)勘定から費用に振り戻す仕訳(再振替仕訳)を行う。
(2)収益の繰延べ(収益の前受)
 当期中に翌期の分の収益まで先にもらったとき
翌期の分は、当期の収益から減らして、翌期に繰延べる。
 (借)(収  益) ××× (貸)前受収益 ×××
※翌期の分は、すでに受け取ったものなので「前受収益」(負債)勘定で記帳する。翌期以降にサービスをする義務を表す。
 収益を繰延べた場合は、翌期首に「前受収益」(負債)勘定から収益に振り戻す仕訳(再振替仕訳)を行う。
(3)費用の見越し(費用の未払)
 すでに発生しているが、まだ支払いはしていない後払いの費用があるとき
当期の分は当期の費用として計上する。
 (借)(費  用) ××× (貸)未払費用 ×××
※この費用はまだ払っていないので「未払費用」(負債)勘定の増加として記帳する。後日、支払う義務があることを表す。
(4)収益の見越し(収益の未収)
 すでに発注しているが、まだ受け取っていない後日受け取りの収益があるとき
当期の分は当期の収益として計上する。
 (借)未払収益 ××× (貸)(収  益) ×××
※この収益はまだもらっていないので「未収収益」(資産)勘定の増加として記帳する。後日、受け取る権利があることを表す。
【消耗品と引出金の決算整理】
(1)購入時に資産として処理する場合
 購入時にすべて「消耗品」(資産)勘定として処理する。この場合は、決算において、当期に使用した分を「消耗品費」(費用)勘定に振替える。
 ①購入時
  (借)消耗品  ××× (貸)(現金等) ×××
 ②決算整理
  (借)消耗品費 ××× (貸)消耗品   ×××
(2)購入時に費用として処理する場合
 購入時にすべて「消耗品費」(費用)勘定として処理する。この場合、決算において、未使用の分を「消耗品」(資産)勘定に振替える。
 ①購入時
  (借)消耗品費 ×××(貸)(現金等) ×××
 ②決算整理
  (借)消耗品  ××× (貸)消耗品費 ×××
【引出金の決算整理】
 決算時には「引出金」(仮)勘定の残高を「資本金」(資本)勘定に振替える。
  (借)資本金  ××× (貸)引出金  ×××